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「生物多様性」とは?自然と人間の共生を支える“いのちのつながり”(SDGsな旬ワード⑩)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/09/07

はじめに

気候変動と並んで、いま地球規模で深刻な課題として注目されているのが「生物多様性」の喪失です。私たちの食、暮らし、経済のすべてがこの“いのちの多様性”の上に成り立っています。
現在開催中の大阪・関西万博でも、いのちをテーマにしたパビリオンが多く出展されていることから注目度の高さがうかがい知れます。以前ご紹介した「ネイチャーポジティブ」にも強い関係がありますね。

今回は、「生物多様性」とは何か、なぜ今それが重要視されているのかをご紹介します。

生物多様性とは

「生物多様性」とは、地球上のあらゆる生きもの──動物、植物、微生物、そしてそれらが形づくる生態系の多様性のことを指します。具体的には、

  • 種の多様性(例:クマやトマトなどの多様な生きもの)
  • 遺伝子の多様性(例:同じ種でも寒さに強い品種など)
  • 生態系の多様性(例:森・海・湿地といった多様な自然環境)
    の3つの階層に分けて考えられています。

これらの多様性は、自然界のバランスを保ち、私たちの生活や経済活動を支える基盤となっています。

なぜ今、生物多様性が注目されているのか

現在、地球上では年間4万種以上の生きものが絶滅の危機に瀕しているといわれています。森林伐採や乱獲、農薬や化学物質の使用、気候変動など、人間の活動によって生物多様性は急速に失われつつあります。

この問題は、単に「自然がかわいそう」という感情的な話ではありません。例えば、私たちが毎日食べている作物の受粉にはミツバチなどの昆虫が必要であり、森林は水資源の涵養や気候の安定にも貢献しています。つまり、生物多様性は「人間の暮らし」にとって不可欠なインフラでもあるのです。

最新の動向

2022年に開催されたCOP15(生物多様性条約)では、「2030年までに地球の陸と海の30%を保全する(30 by 30)」(*)という国際目標が採択され、生物多様性の回復に向けた本格的な取り組みが始まっています。2024年にはCOP16がコロンビアで開催され、各国の進捗状況とさらなる対策が話し合われました。

企業の間でも「ネイチャーポジティブ」や「TNFD(自然関連財務情報開示)」への対応が加速しており、サプライチェーン全体での自然資源の持続可能な利用が求められています。

私たちにできること

生物多様性の保全は、専門家や行政だけの課題ではありません。私たちにもできることがあります。たとえば、

  • 地元産や有機農産物など、環境負荷の少ない食品を選ぶ
  • プラスチックごみの削減や節水・節電を心がける
  • 森林や海、湿地などの自然を大切にするイベントに参加する

 といった日常の選択が、生物多様性の守り手となる行動につながります。

おわりに

生物多様性は、私たちが「生きていくこと」そのものに関わるテーマです。多様な命が豊かに息づく地球であり続けるために、自然との共生を考える視点を日々の暮らしの中に取り入れていくことが、持続可能な未来への第一歩となります。

次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
* 30 by 30:https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/

《参照記事》
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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。