金融業界におけるSDGs（SDGs業界研究シリーズ）

第20弾は、「金融業界におけるSDGs」です。

金融業界は、経済成長と社会発展の支柱として、資金調達、投資、決済など多岐にわたるサービスを提供しています。近年、環境や社会課題への対応が重要視される中、SDGsの達成に向けた取り組みが加速しています。

環境面
事業活動における環境負荷の低減、グリーンファイナンス(1)の拡大、気候変動リスクへの対応という三つの要素があります。具体的には、紙の使用削減や省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの利用拡大などの事業者としての取組みから、環境関連プロジェクトへの融資、グリーンボンドの発行など金融業界特有の活動まで多岐にわたります。また、気候変動リスクの分析やストレステスト(2)の実施を通じて、リスク管理にも注力しています。

社会面
ESG投資の拡大、金融包摂(*3)の推進、地域社会への貢献を目指して、ESG評価ツールの開発、ESG投資ファンドの運用、マイクロファイナンスの提供、デジタル金融サービスの開発、金融教育の推進などが行われています。
また、なでしこファンドやなでしこ銘柄など女性活躍に力を入れている企業にスポットを当てて投資を促進する動きもあります。

経済面
持続可能な金融システムの構築と金融イノベーションの推進のため、サステナビリティに関する国際的な枠組みへの参画やガイドラインの策定、AIやビッグデータの活用、フィンテック企業との連携などが進められています。

このように、金融業界全体としては、グリーンファイナンスやESG投資のさらなる拡大、持続可能な金融システムの構築に向けた国際的な協調の強化を目指しており、持続可能な開発と社会全体の福祉向上に欠かせない存在といえるでしょう。

*1 環境問題の解決に向けた取り組み（グリーンプロジェクト）に特化した金融のこと
*2 金融市場の急変動や大規模災害などの不測の事態が起きた時のポートフォリオの損失やその回避策を予めシミュレーションしておくリスク管理手法
*3 より多くの人々が金融サービスを利用できるようにする取り組み

《SDGs業界研究シリーズ》
・スポーツ業界におけるSDGs
・石油業界におけるSDGs

本シリーズのその他記事はこちらから

加藤直樹（筆者プロフィール）

▼本記事シリーズは、メルマガでも定期配信中！他にもメルマガだからこそ手に入る情報が満載！気になる方はバナーをクリックしてご登録ください。