ブログ
blogs

SDGsトピック「地球温暖化」|事例を交えてわかりやすく解説
2025/06/09

SDGs(持続可能な開発目標)は、世界が直面する様々な課題に取り組むために国連によって設定された17の目標で構成されています。前回につづき、目標横断のトピックを取り上げる形で記事を作成していきます。
「目標13 気候変動に具体的な対策を」は、地球の気候変動や、それによって引き起こされる悪影響に対して速やかに行動を起こすことの重要性を指摘しています。気候変動は、激甚災害や海面上昇など、私たちの生活に直接影響を与える重大な問題です。この目標は、世界の国々が、気候変動への対応を政策に入れることを目的としています。
本記事では、地球温暖化の概要や具体的な取り組み事例、そしてわたしたちがどのように貢献できるかについて解説しようと思います。
「地球温暖化」とは?
地球温暖化とは、地球全体の平均気温が長期的にみて上昇していく現象を指します。これは、人間が活動することによって増えた大気中の温室効果ガス* 1 が原因と考えられているのです。
では、地球温暖化のメカニズムを説明します。まず、太陽からの光が地面を暖めます。このとき、大気中に存在する温室効果ガスは、地表から宇宙へ放射される熱を引き留めて地球を温暖に保ってくれます。しかし、これらのガスが過剰に増えると、大気中に留まる熱が増えすぎて気温が上昇するとされます。
地球温暖化が進行すると、海面上昇、異常気象の増加、生態系への影響など、さまざまな問題が生じる可能性があります。地球温暖化を防ぐには、温室効果ガスをなるべく出さないようにすることや、エネルギー消費を抑えること、森林資源の保全・適正管理によるCO2吸収量向上などの取り組みが有効と考えられています。
*1:二酸化炭素に限らず、メタンや水蒸気などにも温室効果があります。
参考URL:全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)デコ活を加工して作成
地球温暖化がもたらす問題
地球温暖化による問題の中でも、より深刻なのは次の3つです。
- 気候変動の激化:異常気象、干ばつなどによる食糧や水の不足、森林火災の増加による生態系への影響や大気汚染が考えられます。
- 海面上昇と沿岸部の危機:氷河や極地の氷が溶けることで海面が上昇し、これによって沿岸都市・島嶼国の水没や塩害が深刻になることが考えられます。
- 食糧・水資源の危機:農作物の収穫量の減少・品質の低下、また、氷河の消失・降水パターンの変化で水不足が深刻になることが考えられます。
私たち一人ひとりがこのようなターゲットを意識して生活することで、目標15の達成に着実に近づくことでしょう。
「地球温暖化」に関するキーワード
地球温暖化を理解するためには、以下の重要なキーワードを押さえておくことが大切です。
CO2排出量
工場や施設のエネルギー利用を最適化することで、CO2排出量を抑える取り組みが進行しています。この際、再生可能エネルギーの活用や省エネ技術の導入が鍵となります。また、日本政府は2026年度に本格的に排出量取引の運用を始める予定です。
再生可能エネルギー(太陽光・地熱・水素)
太陽光発電や地熱発電、水素エネルギーの活用が拡大しています。それぞれの地域の特性を生かした方式の導入が進み、持続可能なエネルギー供給が実現されてきています。
バイオガス発電
バイオガスは、生ごみや家畜などの生物由来の原材料(バイオマス)を微生物の発酵によってつくるガスです。これを燃料とした発電の普及を進めることで、資源の循環と、放出される温室効果ガスを減らすことが期待されています。
省エネルギー技術(次世代蓄電池・省エネ機器)
次世代蓄電池や省エネ機器の導入が進み、エネルギー利用の効率が向上しています。これらは、電力の安定供給や消費電力の削減につながっています。
「地球温暖化」の主なターゲット
地球温暖化について、関連するゴール・ターゲットをいくつか紹介します。
目標7 「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
- 7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
- 7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
目標9 「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
- 9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
目標 13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
- 13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。
- 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
- 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
- 13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
- 13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。
「地球温暖化」の取り組み事例
ここからは、地球温暖化に対する取り組みの具体例について、SDGsを楽しみながら学べる「Sustainable World BOARDGAME」の事例をご紹介します。
- 事例1「牛のふん尿を資源としたバイオガス発電」上士幌町版
- 事例2「新素材の開発によるCO2削減」埼玉県版
- 事例3「分別の徹底で焼却ごみの削減」神奈川県版
- 事例4「ゲームで学ぶ脱炭素の実現」新潟県版




このように世の中では地球温暖化の課題を解決するための多くの取り組みが行われており、「Sustainable World BOARDGAME」で学べます。
「地球温暖化」に対して私たちにできること
これらの活動は、CO2排出量削減と再生可能エネルギーの普及を組み合わせた持続可能な社会の実現を目的としています。特に、省エネルギー技術の活用促進と、個人・企業が取り組める具体的な行動に重点を置いています。また、この目標の達成には、温室効果ガスの削減などで温暖化を抑える対策(緩和策)、気候変動による被害からすぐに立ち直れる社会をつくるために、防災をはじめとした、温暖化しても生活していけるための対策(適応策)などの具体的な対策が求められています。
- 省エネ製品や再生可能エネルギーの活用
- a. 次世代蓄電池や省エネ機器の普及を促進し、エネルギー消費を抑制
- b. 太陽光発電やバイオガスなど、地域に適した再生可能エネルギーの導入を推進
- サプライチェーンや地域活動への参加
- a. 製品の製造・流通過程にも注目し、エネルギー効率の高い選択を推奨
- b. 地域での再生可能エネルギー活用や、持続可能な取り組みに積極的に関与
- 地球温暖化に適応するための社会づくり
- a. 気温上昇や異常気象に備え、都市の排水・冷却機能の強化や避難体制の整備を進める。
- b. 高温や干ばつに強い農作物の導入や、水資源の効率利用、地産地消の推進で食の安定を確保する。
最後に
これらの取り組みは、単なる省エネ対策ではなく、持続可能な社会システムの構築を目指しています。エネルギーの効率的な利用と再生可能エネルギーの普及を促しながら、個人や企業が環境負荷を減らしやすい仕組みを整えることが重要なのではないでしょうか。