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SDGsトピック「食と健康」|事例を交えてわかりやすく解説

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ボードゲームHPスタッフ

2025/07/08

SDGs(持続可能な開発目標)は、世界が直面する様々な課題に取り組むために国連によって設定された17の目標で構成されています。前回につづき、目標横断のトピックをご紹介します。各目標の達成も大事ですが、現実の問題というのはさまざまな目標が重なっているため、代表的なトピックを取り上げて記事を作成しています。

「食と健康」は密接に関わっており、バランスのとれた食事は生活習慣病の予防や免疫力の維持に重要です。安全で栄養価の高い食を選ぶことは、健康面だけでなく、農業生産の多様性や資源効率を上げ、持続可能な社会の実現にもつながります。

本記事では、食と健康の概要や具体的な取り組み事例、そしてわたしたちがどのように貢献できるかについて解説します。

「食と健康」について考える

「食と健康」は、私たちの毎日の生活と切っても切れない関係にあります。
バランスのとれた食事は、生活習慣病の予防や、心と体の健康づくりに欠かせません。近年では、食の選び方や生産のあり方が、社会や地球環境にどのような影響を与えるかという視点も注目されています。

たとえば、以下のような効果が考えられます。

  • 地元で作った多様な作物を選ぶことで、いろいろな作物の生産を促す
  • 土や生き物のバランスが守られることで、環境を壊さない農業ができる
  • 遠くから食べ物を運ぶ必要が減り、地球にやさしい(フードマイレージ 削減)
  • 旬の食べ物を選ぶことで、体にいい栄養を多く摂れる
  • 作っている農家の人たちを応援できる

このように、「食と健康」を見つめ直すことは、私たちの未来の暮らしや地球の持続可能性にもつながっているのです。

注:「食べ物が運ばれてきた距離」を表す言葉。遠い国から来た食べ物は、たくさんのガソリンやエネルギーを使って運ばれるため、環境に負担をかけることになります

「食と健康」に関連して考えられる問題

食・健康・地域・環境が密接に関わっていることを意識しないと、次のような問題が生じるかもしれません。

  • 地域の人たち同士のつながりが弱くなり、孤立の増加:一人一人が自分を優先する個人主義の考え方が進むことで、地域の人たちが一緒に食事をしたり、健康づくりをしたりする機会が減ると、高齢者や子どもが孤立しやすくなります。これにより、地域社会による見守りや支え合いの機能が失われて、地域全体の健康と安全が脅かされかねません。
  • 環境負荷の高い食習慣の拡大:輸入品に依存した食生活や加工食品の大量消費は、CO2排出や食品ロス(「食品ロス」記事参照)の増加につながります。地球温暖化への影響も深刻化し、食料供給そのものが不安定になる可能性があります。
  • 予防より治療に医療コストが偏り、増加:食と運動による予防の意識が薄れると、生活習慣病や精神の不調が長いこと回復せずに、医療に頼ることが多くなります。これは個人の負担を増やすだけでなく、社会全体の医療費増加や、人によって健康に格差が出ることになります。

「食と健康」に関するキーワード

食と健康を理解するためには、以下のキーワードを押さえておくことが大切です。

栄養教育と家族参加

親子で学ぶセミナーを通じて、家庭での健康意識を育てる場が提供されています。

多様な農法と地域との連携

農薬や肥料の使用の有無、栽培技術の種類を問わず、さまざまな農法が持続可能な食の提供を目指して進化しています。地域との連携によって、環境や健康への配慮が日常のライフスタイルにも良い影響を与える可能性があります。

「食と健康」の主なターゲット

食と健康について、関連するゴール・ターゲットをいくつか紹介します。

  • 2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
  • 2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
  • 3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
  • 6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
  • 6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
  • 6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する。
  • 6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
  • 6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
  • 6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
  • 6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
  • 6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。
  • 14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

「食と健康」の取り組み事例

ここからは、食と健康に対する取り組みの具体例について、SDGsを楽しみながら学べる「Sustainable World BOARDGAME」の事例をご紹介します。

  • 事例1「卒園児が作る味噌で園児の腸内活時」埼玉県版
  • 事例2「食べられるスプーンで学べる環境と食育」愛知県版
  • 事例3「仏教ルーツの精進料理で心身のバランス調整」京都市版

このように世の中では食と健康の課題を解決するための多くの取り組みが行われており、「Sustainable World BOARDGAME」で学べます。

「食と健康」に対して私たちにできること 

これらの活動は、すべての世代が心身ともに健康に過ごせる社会の実現を目指しています。特に、食育・運動習慣・地域とのつながりを通じた長く続けられる健康づくりに重点を置いています。

  1. 子どもの健やかな成長を支える環境づくり
    • a.スポーツスクールや栄養セミナーの開催により、楽しみながら学べる場を提供
    • b.野菜を活用したエコ商品で、子どもの食への関心と健康意識を高める
  2. 働き盛り世代の健康促進と予防の意識向上
    • a. アプリを活用した歩数管理やポイント特典で、日常の運動習慣を促進
    • b. AEDや応急手当の知識普及で、健康への理解と対応力を養う
  3. 自然・地域との共生を意識した食の選択
    • a. 無農薬・無肥料の自然栽培や、農業体験を通じて、食の安全と環境への配慮を学習
    • b. 食品ロスを抑え、環境にも配慮した食文化を育む

最後に

「食と健康」は、個人のライフスタイルの選択だけでなく、社会全体の未来にも影響します。
子どもから大人までが日常の中で無理なく実践できる工夫を取り入れることで、健康に暮らせて持続可能な社会を実現することができます。

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