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「ビジネスと人権」とは?企業活動が問われる“人間らしさ”の尊重(SDGsな旬ワード⑧)
2025/06/24

はじめに
グローバル化が進む中、企業活動が人権に与える影響についての関心が高まっています。特に近年は、サプライチェーン上の労働環境や差別、強制労働などが社会課題として顕在化し、「ビジネスと人権」というテーマが世界的に注目されています。
今回は、企業にとって避けては通れないこのテーマについて、基本的な考え方と最新の動向を紹介します。
「ビジネスと人権」とは
「ビジネスと人権」とは、企業活動が人権に配慮し、すべての人が人間らしく生きる権利を尊重する責任があるという考え方です。
2011年、国連は「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」を策定し、すべての企業に「人権を尊重する責任」を求めました。
この指導原則は、①国家の保護義務、②企業の尊重責任、③被害者の救済へのアクセスという3本柱から構成され、国や企業の対応がグローバルスタンダードとなっています。
なぜ今、「ビジネスと人権」なのか?
背景には、国際社会における企業責任の重みの増加があります。途上国の工場での児童労働や過酷な労働環境、移民労働者への差別的扱いなどが報じられ、企業の無関心や放置がブランド毀損や投資家離れを招くケースも増えています。
加えて、サステナビリティ投資(ESG投資)やサプライチェーンの透明性が問われる中で、「人権の尊重」は企業価値の一部として扱われるようになりました。
最新の動向
EUでは「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」が可決され、2024年から大企業に人権・環境のデューデリジェンスを義務化。ドイツやフランスなども独自に人権デューデリジェンス法を施行しています。日本でも2022年に政府が「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を発表し、企業に対し自主的な人権尊重の取り組みを求めています。
企業側では、人権方針の策定やリスク評価、取引先への調査・対話の仕組みづくりが進んでおり、特に製造業や小売業、建設、農業などの現場では、外国人労働者や女性、子ども、先住民族といった弱い立場の人々の権利保護が問われています。
私たちにできること
人権は国家や企業だけでなく、私たち一人ひとりの選択にも関係しています。たとえば、購入する商品の背景にある労働環境に目を向けること、企業の人権方針や行動に関心を持つこと、働く場での差別やハラスメントに声を上げることも、すべてが「人権を尊重する社会」につながります。
消費者として、ビジネスパーソンとして、小さな行動が大きな変化を生み出す可能性があるのです。
おわりに
「ビジネスと人権」は、企業のリスク管理の視点を超えて、人間の尊厳を守る社会づくりに向けた根本的な価値観を問うテーマです。サステナビリティやESGが浸透する今、企業も個人も「誰ひとり取り残さない」姿勢が求められています。
次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!
学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。
《参考URL》
* ビジネスと人権に関する指導原則:https://www.unic.or.jp/texts_audiovisual/resolutions_reports/hr_council/ga_regular_session/3404/
《参照記事》
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《筆者プロフィール》
SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。