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個人も社会も“心地よく”生きる「ウェルビーイング」(SDGsな旬ワード⑦)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/05/31

はじめに

働き方や暮らし方が大きく見直される中で、「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉が注目されています。健康、幸せ、生きがい──そうした目に見えない“豊かさ”を重視する考え方は、企業経営や政策、個人のライフスタイルにまで広がっています。

今回は、持続可能な社会づくりの基盤にもなる「ウェルビーイング」の意味と、その広がりをご紹介します。

ウェルビーイングとは

「ウェルビーイング」は、単なる身体的な健康だけでなく、心や社会とのつながり、経済的な安定なども含めた“総合的な幸福状態”を意味します。
世界保健機関(WHO)では、健康を「身体的・精神的・社会的に良好な状態」と定義(*)しており、この概念がウェルビーイングの土台となっています。

個人のレベルでは、心身の健康や人間関係の充実、仕事のやりがいなど。組織や社会のレベルでは、働きやすい職場環境や地域コミュニティの活性化、公平な機会の提供など、さまざまな側面が関わっています。

なぜ今、ウェルビーイングなのか?

近年、経済成長だけでは測れない「豊かさ」の価値が注目されています。過重労働や孤独、メンタルヘルスの問題など、社会的な課題が表面化する中で、「いかに生きるか」「どのように働くか」が見直されるようになりました。

SDGsでも「すべての人に健康と福祉を(目標3)」が掲げられており、ウェルビーイングの実現は持続可能な社会の前提とされています。企業にとっても、従業員のウェルビーイングを重視することが、エンゲージメントや生産性の向上につながるとして、重要な経営課題となっています。

最新の動向

政府や自治体、企業の間でも「ウェルビーイング指標」や「幸福度指標」を取り入れる動きが広がっています。たとえば日本政府は、国民の主観的幸福度や社会関係資本などを含めた新たな「国民の豊かさ」指標の検討を進めています。

企業でも、健康経営やフレキシブルな働き方の導入、心理的安全性のある職場づくりなど、従業員のウェルビーイングを高める施策が広がっています。また、地域においても、福祉・教育・まちづくりを連動させた「まちのウェルビーイング」向上の取り組みが進んでいます。

私たちにできること

ウェルビーイングの実現は、政策や企業だけでなく、私たち一人ひとりの意識や行動にも関わっています。たとえば、自分の心身の状態に目を向け、生活習慣を整えること。他者とのつながりを大切にし、感謝や思いやりを言葉にすること。仕事や学びの中で、自分らしさを発揮できる環境を求めていくことも、ウェルビーイングにつながります。

また、商品やサービスを選ぶ際にも、誰かの健康や幸せを支える選択ができるかを意識することで、社会全体のウェルビーイング向上に寄与できます。

おわりに

「ウェルビーイング」は、経済成長や効率性だけでは測れない、本質的な豊かさを問い直すキーワードです。誰もが心地よく、自分らしく生きられる社会をつくるために。まずは自分自身の状態を大切にし、身近な人や社会に少しずつ良い影響を広げていくことから、ウェルビーイングな未来は始まります。

次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
* Constitution of the World Health Organization:https://www.who.int/about/governance/constitution

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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。