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「リジェネラティブ」とは?持続可能を超えて“再生”を目指す新たなアプローチ(SDGsな旬ワード⑤)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/03/27

はじめに

「サステナブル(持続可能)」という言葉が広く浸透する中で、さらに一歩進んだ考え方として注目を集めているのが「リジェネラティブ(Regenerative)」という概念です。近年では、農業やビジネス、都市開発などさまざまな分野でこのキーワードが使われるようになっています。

今回は、これからの社会や経済のあり方を考える上で知っておきたい「リジェネラティブ」についてご紹介します。

リジェネラティブとは

「リジェネラティブ」とは、日本語で「再生的な」「回復力のある」と訳され、単に“今の状態を維持する”という意味の「サステナブル」を超えて、自然や社会、生態系をより良い状態に“再生”していくという考え方を指します。

もともとはリジェネラティブ農業(Regenerative Agriculture)という分野で広まった言葉で、土壌の健康、生物多様性、水循環などを回復させながら、環境にプラスのインパクトをもたらす農法として注目されました。
現在では、企業経営やまちづくり、教育、医療などさまざまな分野で応用されつつあります。

なぜ今リジェネラティブなのか?

気候変動や生物多様性の喪失、資源の枯渇といった地球規模の課題が深刻化する中で、「持続可能」だけでは不十分であるという認識が広がっています。これまでのサステナビリティが「悪化を止める」ことを重視していたのに対し、リジェネラティブは「より良い状態に戻す・育む」ことを重視します。

たとえば、森林伐採を止めるのではなく、失われた森林を再生し、自然と共生できる生態系をつくる。劣化した土地を農業で回復させる。
地域コミュニティを活性化し、人間関係のつながりも豊かにしていく――そういった、回復と再生を軸にしたポジティブなアプローチ(*)が求められているのです。

最新の動向

2024年のCOP16(生物多様性条約)やさまざまな国際フォーラムでは、「ネイチャーポジティブ」や「リジェネラティブ」といったキーワードが登場し、グローバル企業や自治体が次々と再生型の取り組みを表明しています。

たとえば、あるグローバルアパレルブランドはリジェネラティブ農業で育てた綿を使用した製品ラインを展開。また、都市開発の分野では、自然環境と人間活動の調和を前提とした「リジェネラティブ・デザイン」に基づくエコビレッジ構想も進んでいます。

日本でも、農業分野においてリジェネラティブな方法を取り入れる動きが広がっており、環境負荷を減らすだけでなく、地域資源の循環や若手農家の育成にも貢献しています。

私たちにできること

リジェネラティブな社会を実現するために、私たちができることもたくさんあります。たとえば、自然との共生を意識した暮らし方、地産地消の選択、再生可能な素材を使った製品の購入など。企業や自治体の取り組みに注目し、消費者としてポジティブな循環を後押しすることも重要です。

また、働き方やビジネスの中でも、単なる効率性や利益追求だけでなく、人や自然とのつながりを大切にする価値観が求められています。

おわりに

「リジェネラティブ」は、これからのサステナビリティのキーワードとして、持続可能な未来を“育てていく”ための大きなヒントを与えてくれます。
ネガティブな影響を減らすだけでなく、ポジティブなインパクトをつくる。そんな社会の担い手として、一人ひとりができることを考え、行動していくことが、これからの時代の「豊かさ」につながっていくでしょう。

次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
* Towards a Regenerative Economy:https://www.ampersand.partners/post/evolving-corporate-responsibility

《参照記事》
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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。