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「Beyond SDGs」とは?ゴールのその先へ、未来をつなぐ新たな視点(SDGsな旬ワード⑫)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/10/31

はじめに

2030年を目標年に掲げたSDGs(持続可能な開発目標)。その達成に向けた取り組みが世界中で進められる中、近年注目されているのが「Beyond SDGs(ビヨンドSDGs)」という考え方です。SDGsにとどまらず、その“先”を見据えた行動が求められる今、私たちはどんな視点を持つべきなのでしょうか?

今回は、「Beyond SDGs」とは何か、その背景や広がりを解説します。

Beyond SDGsとは

「Beyond SDGs」とは、文字通りSDGsの枠を超えて、2030年以降を見据えた持続可能な社会づくりを目指す考え方です。SDGsは17の目標と169のターゲットからなる国際的な共通言語として、企業や自治体、教育現場でも広く活用されていますが、あくまで“2030年までのアクションプラン”という位置づけです。

「Beyond SDGs」は、それをゴールではなく“通過点”と捉え、地球規模の課題に対してより本質的・構造的な転換を促すアプローチです。気候危機や生物多様性の喪失、経済格差など、SDGsの達成だけでは解決しきれない問題に対応するため、より長期的かつ包括的な視野が求められています。

なぜ今、「Beyond SDGs」なのか

SDGsが採択された2015年から10年近くが経ち、各国や企業の取り組みは進んできましたが、現実には多くの目標が未達成のままです。また、SDGsは「目標を設定し、努力する」ことに重きが置かれていますが、その達成方法や効果の測定、実効性には課題も残されています。

さらに、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)や脱成長、ポスト資本主義といったよりラディカルな視点も広がりを見せており、「サステナビリティ」そのものの再定義が必要とされている今、「Beyond SDGs」はその問いかけの起点となっています。

最新の動向

国連では、2023年に「SDGサミット」を開催し、中間年としての進捗と今後の課題を確認しました。加えて、ポスト2030アジェンダの検討がすでに始まっており、「Well-being経済」や「ネイチャーポジティブ」、「Regenerative(再生)」など、SDGsでは語りきれなかった価値観が次のキーワードになりつつあります。

また、日本国内でも企業や自治体が「SDGsそのものを目的化しない」「独自のビジョンで取り組む」といった姿勢を打ち出す例が増えており、地域や組織の本質的な変化を促す動きが広がっています。ビヨンドSDGs官民会議(*)という形で議論も進んでいます。

私たちにできること

「Beyond SDGs」は、ただ新しい目標を追うのではなく、自分自身や所属する組織が「なぜ」取り組むのかを問い直すことから始まります。一人ひとりが日常の中で社会課題を“自分ごと”として捉え、利他的な選択や長期的な視点での意思決定を意識することもその一歩です。

また、企業や自治体のSDGs活動を評価するだけでなく、「それがどんな未来につながるのか」を考え、対話する姿勢も求められます。

おわりに

「Beyond SDGs」は、ゴールを超えて“どう生きるか”を問い直すプロセスです。持続可能な未来は、2030年で終わるものではなく、その先の社会や地球をどのように育てていくかという問いかけの連続です。私たち一人ひとりの意識と行動が、その先の未来をつくっていきます。

次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
* ビヨンドSDGs官民会議:https://beyondsdgs.net/

《参照記事》
サステナビリティ認証シリーズ一覧はこちら
SDGs業界研究シリーズ一覧はこちら
SDGsな旬ワードシリーズ一覧はこちら

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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。