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社会を動かす「DE&I」の可能性(SDGsな旬ワード③)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/01/29

はじめに

2025年を迎え、社会の変化を感じる場面が増えています。職場や学校、地域コミュニティで、異なる背景を持つ人々と接する機会が増えた方もいるのではないでしょうか。
そんな中、注目されるキーワードが「DE&I」です。

DE&Iとは

DE&Iとは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字をとった言葉です。近年、この概念はSDGsの達成に向けた社会の変革の中で、特に注目されています。それぞれの言葉が指す意味を簡単に解説しましょう。

Diversity(多様性):性別、年齢、人種、障がいの有無、性的指向、宗教、文化など、あらゆる違いを尊重すること。
Equity(公平性):すべての人が平等にチャンスを得られるよう、個々のニーズに応じた配慮や支援を行うこと。
Inclusion(包摂性):多様な人々がそれぞれの価値を活かし、活躍できる場をつくること。

SDGsにおけるDE&Iの重要性は、「誰一人取り残さない」という理念に直結しています。これは、17の目標の中でも特に5番(ジェンダー平等)、8番(働きがいも経済成長も)、10番(人や国の不平等をなくそう)に密接に関連しています。

DE&Iがいま求められている背景

たとえば、企業の中でDE&Iを推進する取り組みとして、以下のような事例が挙げられます。

ジェンダーバランスの向上:管理職への女性登用や、育児と仕事の両立支援策を整える。
障がい者雇用の促進:物理的なバリアフリーだけでなく、職場での配慮を行う。
多文化共生の推進:外国人社員の採用や、文化的背景に配慮したマネジメントを実施する。

こうした取り組みは、単に「社会的責任」を果たすだけでなく、企業の競争力を高める戦略としても注目されています。多様な視点が加わることで、革新的なアイデアや新しい市場の発見が期待できるからです。

政治的な影響によるDE&I撤回の動き

しかし、近年、特にアメリカの企業において、DE&Iプログラムの撤回や縮小が進んでいます。この動きは、主に保守派からの政治的圧力や社会的な反発によるものです。
特に、2023年の最高裁判所によるアファーマティブ・アクションの違憲判決(*)が、企業のDE&I政策に対する不安を増大させています。この判決は、主に大学入試における人種を考慮した入学基準に関するものでしたが、その影響は教育分野を超え、企業の採用ポリシーや多様性推進プログラムにも波及しています。この結果、多くの企業が政治的リスクや世論の反発を懸念し、DE&Iへの取り組みを縮小する動きに出ています。

今後のDE&Iの重要性

政治的な圧力による撤回の動きが進む中でも、DE&Iを推進する意義は失われません。むしろ、このような逆風があるからこそ、多様性、公平性、包摂性を重視する姿勢が一層求められています。特に企業においては、社会的な批判や政策変更への対応力が、競争力の鍵を握る要素として浮上しています。
私たち一人ひとりにも、日常生活でDE&Iを意識できる場面があります。たとえば、学校や職場で異なる意見を尊重し、話をよく聞く姿勢を持つこと。また、身近な消費行動でも、多様性を尊重する企業の商品を選ぶことが一歩となります。
2025年以降、DE&Iはより重要なテーマとして広がりを見せるでしょう。多様性、公平性、包摂性を実現することが社会全体の成長と幸福につながると考えられます。

おわりに

DE&Iは、単なる流行のキーワードではなく、今後の社会において重要な概念です。
次回も、新たな旬ワードを掘り下げていきます。どうぞお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
* アファーマティブ・アクション違憲判決:https://www.bbc.com/japanese/66062667

《参照記事》
サステナビリティ認証シリーズ一覧はこちら
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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。