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「サステナブルファイナンス」とは?お金の流れで社会を変える新たな金融のかたち(SDGsな旬ワード⑬)

加藤 直樹

加藤直樹

2025/11/24

はじめに

「お金の流れが変われば、社会が変わる」——そう言われるように、資金の流れは経済だけでなく、環境や社会の未来にも大きな影響を与えます。近年注目されている「サステナブルファイナンス(Sustainable Finance)(*1)」は、まさにその考え方を体現する新しい金融のかたちです。

今回は、金融とサステナビリティが交差するこの重要なテーマについて解説します。

サステナブルファイナンスとは

サステナブルファイナンスとは、環境・社会・ガバナンス(ESG)を考慮した資金の流れを指し、企業や政府の取り組みが社会的・環境的に持続可能であることを前提に投融資を行う仕組みです。

具体的には、再生可能エネルギー事業への融資、気候変動対策を目的としたグリーンボンドの発行、女性の活躍や貧困解消を目的としたソーシャルボンドなどが該当します。単なる「利益を追求するための投資」ではなく、「持続可能な社会を実現するための投資」が重視される時代へと移行しているのです。

なぜ今、サステナブルファイナンスなのか

気候変動や資源枯渇、社会的不平等といった地球規模の課題が深刻化する中、金融が果たす役割はますます重要になっています。特に、パリ協定やSDGsの達成に向けては、莫大な投資が必要であり、民間資金の活用は不可欠です。

加えて、ESGに取り組む企業は中長期的に安定したリターンをもたらすとされ、投資家からの注目も高まっています。いまやサステナビリティは、リスク回避だけでなく、企業価値の向上に直結する重要な視点です。

最新の動向

世界ではグリーンボンドやサステナビリティリンクローン(*2)の発行が年々増加しており、2024年にはサステナブルファイナンス全体の市場規模が過去最大を更新しました。
EUでは「タクソノミー(分類法)」の整備が進み、どの経済活動が環境的に持続可能かを明確化。日本でも金融庁や環境省がガイドラインを策定し、企業のESG情報開示や金融機関の対応が求められるようになってきました。

2025年に入り、政治動向も大きく変わってきていますが、TCFD(気候関連財務情報開示)やTNFD(自然関連財務情報開示)などの国際的な開示枠組みは広がりを引き続き見せており、企業と投資家の「対話(エンゲージメント)」も重要視されています。

私たちにできること

「サステナブルファイナンス」は大きなお金の話に聞こえるかもしれませんが、私たちにも関係があります。たとえば、ESGに積極的な企業の製品を選ぶ、銀行や証券会社が提供する「ESG投資信託」を検討する、地域の信用金庫が行う社会貢献活動を応援する——こうした行動もサステナブルファイナンスの一部です。

また、自分が働く会社や組織がどのような金融とつながっているのかに目を向けることで、経済と社会のつながりを「自分ごと」として捉えることができます。

おわりに

サステナブルファイナンスは、資本主義のかたちそのものを見直す新しいアプローチです。お金の使い道が変わることで、未来の価値観や暮らし方も変わっていきます。社会や環境によいことにお金が回るしくみを後押しすることが、持続可能な未来への大きな力になるのです。

次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!

学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。

《参考URL》
*1 サステナブルファイナンス:https://www.fsa.go.jp/policy/sustainable-finance/index.html
*2 サステナビリティリンクローン:https://greenfinanceportal.env.go.jp/loan/sll_overview/about.html

《参照記事》
サステナビリティ認証シリーズ一覧はこちら
SDGs業界研究シリーズ一覧はこちら
SDGsな旬ワードシリーズ一覧はこちら

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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。