ブログ
blogs

本当に環境に優しい?「グリーンウォッシュ」のポイント(SDGsな旬ワード④)
2025/03/01

はじめに
近年、環境やサステナビリティへの関心が高まり、多くの企業が「エコ」や「サステナブル」を掲げるようになりました。しかし、その中には実際の環境負荷削減につながっていないケースも少なくありません。
今回は、そうした表面的な環境対策を指す「グリーンウォッシュ」について解説します。
グリーンウォッシュとは
「グリーンウォッシュ(Greenwashing)」とは、企業や団体が環境に配慮しているように見せかけるものの、実際には十分な取り組みを行っていない状態を指します。「グリーン(Green)」と「ホワイトウォッシュ(Whitewash=ごまかし)」を掛け合わせた言葉で、表面的な環境対策によるイメージ操作を意味します。
この問題は、消費者や投資家が環境に配慮した選択を求める中で、企業が競争力を高めるために「サステナブルな企業」としての印象を作ろうとすることから生じます。しかし、実態と異なる環境対策を宣伝することは、企業の信頼を損なうリスクが高く、近年では規制強化や監視の目が厳しくなっています。
グリーンウォッシュの事例
グリーンウォッシュには、いくつかの典型的なパターンがあります。
誇張された環境主張
企業が実際の環境負荷削減効果よりも大きく見せるケース。例えば、「二酸化炭素排出ゼロ」を謳うものの、実際には排出権の購入によるものであり、実際の削減努力をしていない場合などが挙げられます。
あいまいな表現
「ナチュラル」「エコフレンドリー」「地球に優しい」といった曖昧な言葉を使い、具体的な根拠を示さない例。消費者は「環境に良いもの」と思い込んでしまいがちですが、実際には科学的な根拠がない場合が多いです。
部分的な環境配慮の強調
ある製品の一部に環境配慮の要素があったとしても、全体としては大きな環境負荷を生じているケース。例えば、包装だけを環境配慮型に変えても、中身の生産プロセスが従来と変わらない場合などがあります。
企業全体の矛盾
環境に優しい商品を一部展開している一方で、企業全体のビジネスモデルが環境負荷の高いものである場合。例えば、石油・ガス企業が再生可能エネルギーのプロジェクトを宣伝する一方で、化石燃料の開発を拡大している場合が該当します。
最新の動向
近年、グリーンウォッシュに対する規制が強化されています。
EU(欧州連合)では、グリーンウォッシュを禁止する「EUグリーンクレーム(環境主張)指令案」が採択され、2027年から順次適用される予定です。これにより、企業が環境に関する主張をする際、科学的根拠を示すことが義務付けられ、誤解を招く表現が厳しく規制されます。
国連の動きも活発化しています。アントニオ・グテーレス国連事務総長は2024年6月、気候変動対策の一環として、化石燃料業界の広告を禁止すべきだと訴えました(*)。これは、企業が環境対策に取り組んでいるように見せかけながら、実際には化石燃料への依存を続けているケースがあるためです。
こうした動きは、企業のマーケティング手法にも大きな影響を与えており、今後はより透明性の高い環境情報の開示が求められるでしょう。
グリーンウォッシュが私たちに与える影響
グリーンウォッシュの問題は、消費者や投資家の信頼を損なうだけでなく、本来進めるべき環境対策を遅らせるリスクもあります。表面的な取り組みではなく、実際に環境負荷を削減する行動が求められています。
消費者としても、製品や企業の環境主張を批判的に見ることが重要です。
おわりに
サステナビリティへの関心が高まる中、企業の環境対策が本物かどうかを見極めることが求められています。グリーンウォッシュを見抜く力を持ち、より透明性の高い情報に基づいた選択をすることが、持続可能な社会の実現につながります。
次回も、注目すべきキーワードを解説を交えてお届けします。ぜひお楽しみに!
学生や社会人の皆さんにとって、今後のキャリアや日々の仕事を考えるヒントになれば幸いです。
《参考URL》
* 気候変動対策で「化石燃料企業の広告を禁止すべき」=国連事務総長:https://www.bbc.com/japanese/articles/clll9ygndp5o
《参照記事》
サステナビリティ認証シリーズ一覧はこちら
SDGs業界研究シリーズ一覧はこちら
SDGsな旬ワードシリーズ一覧はこちら
▼本記事シリーズは、メルマガでも定期配信中!
他にもメルマガだからこそ手に入る情報が満載です!気になる方はバナーをクリックしてご登録ください。
《筆者プロフィール》
SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。