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ポストSDGs時代の選択④〜成長し続けなければ、幸せになれないのか〜

加藤 直樹

加藤直樹

2026/05/31

前回の記事では、「働く意味はどこにあるのか?」という問いを取り上げました。
ポストSDGsの時代において、働くことは「課題解決の手段」であると同時に、「豊かさを循環させる行為」でもあります。働く意味は、どこかに最初から用意されているものではなく、日々の選択や捉え方の中で、少しずつ見えてくるものというお話をしました。

今回は、働く上で大事な要素とよく言われる「成長」に、焦点を当ててみます。

揺らぐ「成長」神話

「もっと成長しなければ。」

気づけば、そんな言葉を当たり前のように聞く社会になりました。

売上を伸ばす。
フォロワーを増やす。
スキルアップする。
市場を拡大する。

成長することは、良いこと。止まることは、後退。

私たちは長い間、そんな価値観の中で生きてきました。もちろん、成長そのものが悪いわけではありません。新しい挑戦をしたり、自分の可能性を広げたりすることは、人に活力を与えます。企業にとっても、挑戦や進化は重要です。

しかし今、多くの人がどこかで息苦しさを感じ始めています。
頑張っているのに満たされない。達成しても、また次が来る。常に「もっと」を求め続ける感覚。

これは個人だけの問題ではありません。社会全体が、「成長し続けること」を前提に設計されてきたからです。

高度経済成長期の日本では、それが機能しました。人口は増え、市場は拡大し、昨日より今日、今日より明日が豊かになる実感がありました。
しかし今、日本は人口減少社会に入り、経済も成熟しています。物質的には、多くのものが既に満たされつつあります。
それにもかかわらず、私たちの頭の中には、昔のままの「成長モデル」が残っています。

だから、「現状維持」がまるで悪いことのように感じてしまう。
立ち止まることに不安を覚えてしまうのです。

でも、本当にそうでしょうか。

「成長の量」から「豊かさの質」へ

前回触れたアバンダンスの考え方では、テクノロジーによって社会全体の資源はより豊かになっていく可能性があります。
AIや再生可能エネルギーの発展は、その象徴です。
つまりこれからは、「足りないものを増やす競争」だけではなく、「すでにある豊かさをどう循環させるか」が重要になる社会です。

ここで鍵になるのが、ウェルビーイングという視点です。
ウェルビーイングとは、単にお金がある状態ではありません。心身の健康、人とのつながり、自分らしさ、安心感、地域との関係性。そうした“よく生きられている状態”全体を指します。
実際、収入が一定水準を超えると、幸福度は必ずしも比例して伸びないとも言われています。
つまり、「成長=幸福」という方程式は、少しずつ成り立たなくなっているのです。

では、これから私たちは何を目指せばいいのでしょうか。
それは、「拡大」だけではなく、「循環」を重視することかもしれません。

例えば、
・地域の中でお金や価値が循環する
・働く人の心身の余白が循環する
・学びや経験が次の世代へ循環する
・自然資源を使い捨てず、未来へ循環させる

そうした循環が生まれるとき、社会は持続可能になります。

地方創生も、本来はこの視点と深く結びついています。
単に観光客数を増やすことではなく、その地域に暮らす人が誇りを持ち、若い世代が未来を描ける状態をつくること。地域の文化や技術、自然や人間関係を、次の世代へとつないでいくこと。
それは「成長をやめる」という話ではありません。
「何のために成長するのか」を問い直すことです。

売上を伸ばした先に、どんな未来をつくりたいのか。
効率化した先に、どんな暮らしを実現したいのか。
便利さの先に、どんな幸福を求めているのか。

ポストSDGsの時代とは、
“成長の量”ではなく、“豊かさの質”を問い直す時代なのかもしれません。

あなたは今、何のために成長しようとしていますか。

速く進むことよりも、長く続けられること。
大きくなることよりも、循環し続けること。

その視点を持ったとき、私たちの働き方も、生き方も、地域の未来も、少し違って見えてくるのではないでしょうか。

あなたは今、何のために成長しようとしていますか。

《参照記事》
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筆者プロフィール》

https://sustainable-world-boardgame.com/facilitator/n-kato

加藤 直樹

加藤直樹

SDGs/ご当地グルメ/旅行が好きです。その好きなことで仕事をしながら、各地域を盛り上げる中小企業やフリーランスの方々を後押しする活動をしています。