開発秘話
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【SDGsボードゲーム制作秘話】第8弾:ワークショップを刷新した背景
今回は、未来技術推進協会(以下、協会)オリジナルのSDGsボードゲーム「Sustainable World BOARDGAME」活動推進における立役者の1人である村口さんへのインタビュー記事となります。
ボードゲームイベントを継続的に開催していくにあたり、様々な課題や検討がなされたと聞いております。そこにかける想いや努力など、この機会に今だからこそ話せるエピソードを大いに語っていただきました。
ーまずはじめに、村口さんがシンギュラリティ・ラボ(※)に入られ、ボードゲーム企画に参加された経緯も含めて自己紹介をお願いします。
※シンギュラリティ・ラボ:協会会員によるコミュニティ。以下、シンラボ。
はい、村口公亮といいます。シンラボではサービス企画推進をさせていただいています。
シンラボに入会したのが2018年12月。子供が生まれて育休が取れるタイミングでシンラボに出会いました。
自分のエンジニアリングの知見を活かして何か社会貢献に繋げたいな、という想いでいろいろ調べる中で、この協会のビジョンに共感し、最初から入ろうと決めて参加したイベントがSDGsボードゲームのワークショップでした。その運営側に会社の元同僚がいたのには驚きました。
ーワークショップ参加以前から入ろうと思っていたというのはコミュニティとして嬉しい限りですが、そのキッカケは具体的に何でしたか?
育休の期限が明確だったため、いろんなイベントに参加しながら、最初から時間を無駄にしたくないと思っていました。社会貢献、かつ、自分のエンジニアスキルを落とさずに活かせることを考えてネットで色々調べてヒットした中に未来技術推進協会がありました。他にも別のスタートアップ系イベントも参加したのですが、コミュニティとしてあまり魅力を感じなくて、一方で未来技術推進協会はサイトの感じからすでに面白そうだなと思ったのがきっかけです。
それで、入りたいと伝えるため参加したイベントがたまたまそのワークショップだっただけで、実は、SDGsを元々知っていたとか、ボードゲームが趣味とかそういうわけではなかったんです。
ーそこからボードゲーム企画へ参画された経緯をお伺いできますか?
ボードゲームに関わったのは、シンラボに参加してから色々経験しようと思い、VRとかいろんな勉強会にも参加したんですが、人前で話したりワークショップが純粋に楽しかったので、担当されていた方に自分もファシリテーターをやりたいとお願いをしました。
ファシリテーターをやるために2回ほど見学をした上で、スクリプトを参考にしながら先輩ファシリテーターの方々にオンラインで練習させていただき、デビューしたのが2019年初頭のことでした。
そこから、自分なりにオリジナリティを入れていき、価値を高めてマネタイズしたいと思い、企画に注力していきました。
基本は私が何かゼロからやったというのは何もなくて、まずは出し方や見せ方を変えるだけでもっと大きなこと、価値の高いものにできないか、というのが考えの軸にありました。
ー「出し方を変える」ということですが、元々はどういうイベントでどういう風に変えられたのでしょうか?
当時自分も何度かワークショップに参加する中で、毎回参加される方とそうでない方が分かれていました。各回でやる内容が同じなため、リピーターになる要素がない、一回で満足してしまうな、という感覚がありました。
そこから草場さんに提案し、リピートしてファンになるような方を増やすために動いていきました。他の継続的に使われているサービスを見てみると、一回だけじゃなくてストーリーや構造化シリーズ物にされていたので、同じようにすることでリピート率は増えると考えました。
当時聞いた協会の目標である「協会のメンバーを増やす」に貢献する意味でも、ボードゲームのワークショップのリピート率を高めることで流れを作れないか、とも考えていました。
ー4ステップの構想や、それが生まれたプロセスについて教えてください。
一般的に「なんか面白そうだな」と思って参加する人は全体の16%と言われているそうです。他の層を取り込むという意味でも、先ほど話したような構造化、プログラム化することでリピーターを生み出しファン化するという発想から、4ステップのアイデアを考えました。
このフレームワークは、職場の別のチームが行っていた、地方創生の手法として住民の自主性をベースに自発的な行動を生み出す手法の研究結果で4つのプロセスに落とし込んでいたのをたまたま知っていたので、本活動の参考にするため改めて詳しく担当者に聞いてアレンジして、今の形になりました。
具体的には、以下の4ステップを設ける検討を進めていました。
- 理解:まずはSDGsが何かを知って概要を理解する。
- 体験:SDGsボードゲームでSDGsの具体的事例やポイントを体感し、自分ゴト化する。
- 思考:自分が興味がある社会課題の解決ストーリーをデザインする。
- 行動:本当に解決したい課題に対して、協会支援のもとプロジェクトとして行動する。
当時考えていた企画・戦略案がノートにあったので共有いたします。
ー実際に企画や運営をやっていく中で、苦労したことはありますか?
自分が勝手にやったことなので資料は自分が準備しなければいけない、4ステップについて自ら説明しないといけない、そこに参加してもらわないといけない、一回サイクルを回さないと上手く回るのか分からないのでまずは自分でやってみないといけない、というのが大変でした。
実際、先ほど挙げたの「理解」「体験」「思考」「行動」の全4ステップについても、残念ながら全てやり切れたわけではなく、最後の「行動」は実施できませんでした。
理由は、この流れでプロジェクトをやりたいと思ってもらえる人を出せなかったことです。業務ではないのでその人が本当にやりたいと思わないといけないため、なかなかそこまでに育成・フォローできるプログラムの作成、アピールができなかったと振り返って思います。
ただ、今回に限らずシンラボには既にいろんなコンテンツがあるので、それらの組み替え、表現を変えるだけで価値をより高められる可能性は色々あると思っています。
ーボードゲームのワークショップについて、どんな方を対象に検討されていましたか?また、取り組む際に意識したことなどあればお伺いさせてください。
あまりSDGsを知らなくて、かつ何かやりたいと思ってるけど具体的にアイディアがない人ですね。
理由は、具体的にやりたいことが決まっている人はシンラボでなく、スタートアップやピッチなど、他の最適な場所がある。何かやってみたいと思うけどコンテンツがない人のために、視野を広げて解決したいと思う課題を見つけて、仲間を集めて一歩を踏み出せるレールを作っていこう、と。
自分が協会に入会した時も、「何かやりたいけど具体的にはない」と思っていましたし、実際に色々活動しても、アイディアの実現はそんなに甘くないとも感じています。
実際に活動していく中で意識していたことは「自分はエンジニアでない」こと。
会社で研究開発と営業を経験して感じたことが、それぞれの目標・想いが一致していないことで、「エンジニアは作りたい」「営業は売りたい」この溝を少しでも埋めることが必要だと思っていて、そこが楽しいと感じていました。(周りでも)必要だなとは言っていただけるが、なかなかやる人がいない。そこを変えられたらと思って、一般向け・企業向けに表現を変えたり、今もマーケティングスクールで学びながら、興味があるシンラボメンバーを集めた勉強会にも繋がっています。
ー村口さんから見るボードゲーム活動の今後の展望についてお聞かせください。
いつまでもボードゲームを広めているのでは2年前と変わらない。その先の何か具体的な行動に繋げると良いと考えているので、そこのサービスデザインや工夫はすぐにでも必要だと思っています。
先ほどの話でいうところの、84%の危機感を持つアーリーアダプターや企業が来るだけになるため、今年中にドバッと大きく人が来るのがポイントだと思います。SDGsのフェーズ的に、啓蒙をやるにしても残りの84%の人にアプローチするステージであり、そこを取り込むことで一歩先に行けると考えています。ただ、協会のメンバーも本業でやっているわけではないので、限られたリソースで大人数の方にファシリテート研修を受講いただくために、2020年2月ごろに企画提案したのがeラーニング化でした。
今はeラーニング化はスピード感が自分の考えるところと合わなかったのでプロジェクトは降りちゃったのですが、協会ではこういう活動が面白く、ベンチャーでも大企業でもない、普段の仕事をしながらそれ以外の活動で高い価値を出すというのがチャレンジングで楽しいと感じています。
ー最後にこのインタビュー記事を読まれている読者の方へメッセージをお願いします。
言われたからやるのでなく、自分なりに、もっとこうやったらいいんじゃないか、という風に、自分なりに考えて、自分が思う価値を高めるやり方をちょっとでも一歩踏み出すことができれば、会社だけで働くことの先に行けると思います。
例えば、今回ご紹介したワークショップの4ステップも、たまたま職場で他のグループがやっていた結果を参考に、既にシンラボにあったコンテンツの見せ方を変えただけで、何かゼロから全く新しいものを作ったわけではないですが、自分なりに考えてまず一歩踏み出してみた結果だと思っています。
もちろん、そのために様々なSDGsイベントに業務関係なく参加したり、日本でSDGs(国連)の唯一のオフィシャルパートナーである日本JC(公益社団法人日本青年会議所)のSDGs政策委員会に参加させていただいたり、SDGsモデル都市の横浜市が出している資料の表現を参考にしたり、形作るための必要な活動はやりました。
自分なりの価値を高めたいと思っている人は、何かしら行動するのが良いと思います。
シンラボだったらワークショップに参加してみる、プロジェクトを思いついたら紙に書いてみる、自分のアイデアをスラックで投稿してみる、など。シンラボの良いところは、代表の草場さんが何でも聞いてくれること。これやりたいです、と言うと二つ返事で「やりましょう!」と(笑)。
話聞くのはタダで出来ます。この記事を読んでるだけですでに最初の一歩を踏み出していると思うので、もう一歩踏み出すだけです。とりあえず「自分がこれやってみたい」と思ったらなんでも参加してみる。
入ったからずっとやらなきゃいけないことなんてありません。自分がやりたいと思ったり出来そうだと思ったらまずはやってみる、そうしたトライアンドエラーができる環境はなかなか会社の業務ではできないことだと思います。
協会には支援やサポートいただける環境がめちゃくちゃあります。今、一人ではなかなか行動できない、具現化できない、と思いとどまっている方は、少なくとも未来技術推進協会は良い環境であるとおもうので、ぜひ一緒にもう一歩を踏み出してみましょう!
テクノロジーx社会貢献という共通の目的のもと、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっている中で、村口さんのように何かできることないかと取り組みたい方にとっては最高の場所だと感じました!
具体的に何かやりたいことが明確でないが熱意はある方には、ボードゲームはよい入り口だと思います。
次回は、児玉さんにボードゲームアイテム作成にまつわるお話を伺います!お楽しみに〜